「ビートルズを聴くと、彼らの自由でありたいという気持ちが伝わってくるのです」

井上直久先生の個展に行ってきました。

地下への階段を下ってギャラリーへ入っていくと、いきなり!ギターを抱えた先生と友人らしきミュージシャン4人でセッションが。来場者の女性が一緒に歌ったりと、「耳をすませば」の一場面のようでした。ググってみたら、2人だけ名前が分かりました。松尾清憲さんと小室和幸さんというプロの方のようです。今度ライブに行ってみましょう。演奏してた曲で分かったのは、カントリーロードとスタンドバイミー、デイドリームビリーバー、ユーゴナルーズザットガールなどでした。

その後、お茶会状態で先生のお話を伺います。イバラードの世界に塔がたくさんあるのは、ラピュタが上空に来ていやがらせをされないために建てられている設定だとか、興味深いお話に時間を忘れて聞き入ってしまいました。

  • スタジオジブリの映画でイバラードの世界観に似たシーンがいくつもあるが、いちいち了解とか出したりしてるわけではない。宮崎監督がアトリエを訪ねて来られたときに、壁にかかっていた絵のモチーフが水面を走る電車で、その後に千と千尋の神隠しが作られたことがあった。
  • 人物のデッサンの参考に、南米からドクロを入手したが、悪いことが続いたので現地に送り返した。迷信とかオカルトとかを信じているわけではないが。
  • ディックの本で頭に装着すると感情を変えられる機械が出てくるが、Ipodがそれだと思う。音楽は感情に訴えかける。(ここでタイトルの言葉が登場)
  • ナ行は否定の音。カ行は鋭い。眼(まなこ)は顔の真ん中で動く。発せられた言葉の音は意味を規定する。
  • 絵で食べていけると思ったら、税金と絵を描く費用のことを忘れていた。なので絵を教えて給料をもらってきた。65才まで勤めると思われたろうが、弟子が増えてきてそういうのは嫌なので辞めた。(派閥で群れたり、政治力を行使したりするのが性に合わないという意味にとれた)

来場者からチャネリングの話をふられたときにハッキリ否定していたのが印象的でした。総じて先生は、生活者として地に足のついた暮らしをし、世界を理性的に捉える中で、それでも浮かんでくる突飛な発想を絵に託しているのだと感じました。まさに、コンビニがこんなに明かりをつけやがってと思うと頭にくるが、美しいと思ってみるとそれはイバラードなのでしょう。